それから2年が経った。

その間に俺は出世を重ね、公安の特殊捜査班に配属された。

2年という月日は短いようで長かったけれど、一日として莉羽のことを忘れたことはなかった。


そして公安で、黒鉄組を摘発する動きが起こった。

それを任されたのが、俺が指揮を執る特殊捜査班だった。


楪琥珀として裏社会での潜入捜査をおこない黒鉄組を調べる中で、黒鉄組の幹部と莉羽の両親が癒着していること、そして莉羽が虐待を受けていることがわかった。

そのため莉羽を保護することになり、俺は楪琥珀として莉羽を買い取ることにした。


名目上は莉羽を虐待する両親から保護するため。

俺の過去と同じ状況にいる莉羽を、ひとりの公安警察官として守りたかった。


だけどその裏に、莉羽に対する独占欲が隠れていることに気づいていた。

どんどん汚い欲が出てきて、莉羽のすべてがほしくなった。


俺を突き動かすのは綺麗な正義感だけじゃなかった。


莉羽を手に入れるためなら、どんなことだってできる。

俺はもう、莉羽がいない世界を思い出せないんだ――。