『仕事早く終わらせてくるから、待ってろよ。ふたりでお祝いしような』


朝、琥珀くんが私にかけてくれた優しい声が、鼓膜に残っている。


ああ、せっかく一緒に過ごすはずだったのにな……。


私はのろのろとした動きで、自分の部屋に行く。

一部屋とても広い部屋をあてがってもらっていたけれど、勉強をする時くらいで、ほとんど使っていなかった。


ここに来た時同様、私物はとても少ない。

あまりに呆気なく、ものの数分で荷物はまとまってしまった。