*
東郷さんに連れられ乗せられた車の中、私は混乱したままだった。
琥珀くんに訊きたいことばかりなのに、琥珀くんは重要が仕事があると東郷さんに言われている。
だから東郷さんに付き添われ、先にマンションに戻っていることになったのだ。
「訊きたいことがたくさんって顔してるな」
車の向かい側のシートに座った東郷さんが、いつものトーンで私の心を読む。
「はい……。わからないことばかりで……」
「まぁ、あんたの想像通りだ。俺たちは警察……公安のもんだ。ボスは公安の幹事。楪って名前で闇社会で潜入捜査をしてた」
「公安……」
ドラマで聞いたことのあるようなワードに、私はいっそう混乱する。
とてもじゃないけれど理解が追いつかない。