でも、家に帰ることは、琥珀くんには知られてはいけない。
だって私を買ったのに、実家に帰ったと知ったら、いい気はしないはずだから。
放課後は東郷さんが迎えに来ることになっているから、今のうちに学校を抜け出すしか、東郷さんたちにバレない手はない。
そして放課後までには学校に戻ってこないと……。
焦る私の肩を、太陽が掴む。
「落ち着け。大丈夫だから。先生にはうまく言っておくから、こっちのことは心配するな」
「ありがとう、太陽……」
太陽のサポートを受け、私は先生たちの目を盗んで学校を抜け出した。
こんな形で家に帰ることになるなんて。
お父さん、どうか無事でいて……!
私は恐怖に追いかけられるように、必死に走った。
何度も悪夢を見た、あのおんぼろな家に向かって。