ビルの最上階。

玄関のドアを開けるなり、荒々しく唇を奪われた。


後ずさり、背中が壁にぶつかるけれど、琥珀くんはお構いなしだった。

逃がすまいとでもするように、頭上で指先が絡み合う。


求めるようにキスをされ、ついていくのに必死だったはずが、少しずつそれに応えるように自分からも琥珀くんの唇を追いかけ押しつけてしまう。


いつにも増して激しいキス。

これは愛人を奪われそうになった、子どもじみた独占欲なんだろう。

頭ではわかっているのに、甘い麻酔をかけられたみたいに私の頭は考えることをやめて理性と共にぼうっと溶けていく。


「……っ、はあ、ん……」


唇を啄む音と、お互いの吐息。

そして時々漏れる自分の鼻にかかった声が、玄関に響き合う。