「どうしたの? 急に」
「いや、少し話したいことがあって。ちょっとそこら辺、歩かないか?」
「うん」
この前喧嘩別れしたような形になったから、少しだけ緊張しながらここまで来たけれど、太陽はいたって普通どおりだった。
青々とした緑を茂らせた並木道。
新緑の中、私と太陽は噴水を背に並んで歩き出す。
「お互いもう18になったんだな」
そんなことをぽつりと吐き出した幼なじみの横顔を、私は見上げる。
木漏れ日を浴びた横顔は、喉ぼとけが大きく出っ張り、鋭い直線が男らしい。
いつの間にこんなに大きくなったんだろう。
小さい頃は私の方が大きかったのに、今では見上げなければいけないほど背も伸びちゃって。
幼い頃のあどけなさはもうどこにもない。
「どうしたの、急に。おじいちゃんみたい」
「それだけ一緒にいるなと思って。もう10年以上一緒にいるもんな」
「そうだね」
「莉羽は全然変わらないよな。素直になれないくせに照れ屋なところも、危なっかしいところも」