すると空気を震わせるように小さく吹き出し、琥珀くんが私を抱きしめる腕を解いた。 「じゃーな、莉羽ちゃん」 私の頭にぽんと手を置き、そして世界中の万物が恋してしまいそうなほど綺麗な笑みを浮かべ、琥珀くんが行ってしまう。 だだっ広いリビングにひとり取り残された私は、寒々しい自分の腕を抱いた。 ……変なの。 離れるのが恋しい、なんて。