「――莉羽ちゃん」 「はい?」 「抱きしめていー?」 「え……」 はい、と言うより先に、私の身体はすっぽり琥珀くんの腕の中に抱きしめられていた。 「こ、琥珀くん?」 「あー、朝からこれはずるいわ。仕事行きたくなくなる」 まるで寄りかかるように抱きしめられ、私の心臓が全速力で走り出す。