いつだって、私はお父さんとお母さんに従ってきた。

でもこればっかりは、食い下がらずにはいられない。


今以上の地獄が待っているなんて考えもしなかった。


「そんな人のところに行ったら、私殺されるかもしれないんだよ……!?」


我も忘れて声を荒らげる。


多分、そのことはお父さんとお母さん自身が一番わかっているはずだ。

けれどお父さんの険しい顔は一ミリも揺らがなかった。


私のいないところで、ふたりはもう決めて、契約してしまったんだ。

私を売って、大金を得ようって。

そのためには娘がどうなろうと、ふたりにはきっと関係ないことなんだ。