そしてぼうっとしたまま荒い息を繰り返していると。


「……いつまでも俺の腕の中にいて。どこにも行くな、莉羽ちゃん」


ささやかな声が耳朶を打った。


その声はどこか切実で、頼りなくて。

けれど甘い波に攫われた私には、聞き返す気力はなかった。