「お前に話がある」
……ああ、なんで嫌な予感って当たってしまうのかな。
胸に湧く嫌な予感に被さるように、続けてお父さんの口から告げられたのは、耳を疑うほどの言葉だった。
「お前を売ることにした」
「え……?」
当然、すぐには理解できなかったし信じられなかった。
だって、あまりに唐突で現実味がない。
私が売られる……?
どうして……。
「お前の身体の代わりに、もう大金を受け取ってる」
言葉はなくともわかった。
このアタッシュケースには、私を売ったお金が入っているんだって。
いくら入ってるかなんてわからない。考えたくもない。