「なんでおまえがここに」


状況が理解できていないというような琥珀くん。

その呟きに返すより先に、お色気お姉さんがハスキーな声をあげていた。


「あー、この子知ってる! 柏木製薬の御曹司の婚約者でしょっ?」

「え、ぁ……」

「婚約者……?」


その瞬間、琥珀くんの瞳にぴしりとなにかが走った。


「それは、あの」


弁明をしようとした時、それを遮るように琥珀くんの手が私の腕を強く掴んだ。

そして。


「来い」


強い力で腕を引かれ、駆け足でパーティー会場を後にしていた。