するとその時。


「きゃああっ」


突然、あたりが色めきだった。

クラシック音楽が流れる優雅な空間に、その悲鳴はなんだか異質で、私の視線は自然とそちらに向かう。


――と、その目がこぼれんばかりに見開かれる。


あたりの雰囲気を飲み込むほどのオーラ。

豪華な景色の中に滲まない、浮いてさえいる圧倒的な美。

黒シャツに黒のスーツと黒尽くしの一見派手ではない恰好なのに、そんなのは弊害にならない。


今日もこの(ひと)は、ぞっとするほど麗しく美しい。


「琥珀くん……」