「それ、なんだった?」
「ジンジャーエールだったよ。おいしい」
「そうか、よかったな」
そんなやり取りをしていると、突然「太陽じゃないか」と男の人の声が聞こえてきた。
大広間の向こうからやってくるのは、50代くらいと思しきタキシード姿の紳士と、白いドレスの貴婦人。
その姿を認めるなり、太陽がこそっと耳打ちしてきた。
「叔父さんと叔母さんだ」
ついに本丸の登場だ。
私は呷っていたグラスを慌てて降ろし、居ずまいを正す。
近づいてきた叔父さんは、言われてみればどことなく太陽と目元が似ているような……。