……あ、制服の裾がほつれてる。


歩きながら、私はふとスカートの裾から糸が飛び出してしまっていることに気づいた。

帰ったら早く縫わなきゃ。


由緒正しきクラシカルなこの制服は、母のお下がり。

生地はだいぶ傷んでいるし、あちこちがほつれては直しての繰り返し。

けれど新しい制服を用意する余裕なんて、うちにはないんだ。


季節は7月。

夏の眩しい日差しが肌を刺してくる。


高校まで、一駅分の距離がある。

けれど電車の定期代が浮くように、遠いけれど毎日歩いている。


暑い日差しの元を歩いていると、じわりと身体が汗ばみ、一筋の汗が首筋を伝う。