「これ、好きか?」


そう言いながら鈴原くんはピアノの前に行き、椅子に座る。



そして大好きな音が聴こえだす。







初めて聴く曲。




でも、すごく綺麗でオシャレ。




「すごく綺麗…何て言う曲?」



「ドビュッシーの亜麻色の髪の乙女」




私の中で、また大好きな曲が増えた。





さっきまで嫌な鼓動だったのが、鈴原くんが来てくれて落ち着いた。

そして、今は幸せな鼓動に包まれる。




「美し過ぎる…」


ふと漏れた声。



その私の声に、鈴原くんは優しく微笑んで演奏してくれた。