え?
ガチャ??



「日和、ただいま!」



ドアの方向を見る。



「ひっひなちゃん!!」


「…誰?そいつ」




鈴原くんに抱きしめられているこの状況。


「わぁぁぁ!!!」


私は急いで鈴原くんから離れた。


「ひなちゃん!えっと、彼は友達だよ!」



むちゃくちゃな言い訳。



「友達?抱き合ってたけど」


「いや、えっとー…」


もう頭がパニック。




「はじめまして。日和さんとお付き合いさせていただいてます、鈴原です」



えっ…

今なんて…



「日和の彼氏?まじ?」

きちんとした挨拶をしてくれた鈴原くん。
今、彼氏って言ってくれた。



「ちょっとひなちゃん!ひなちゃんも挨拶をして!」


不貞腐れているひなちゃん。

この《ひなちゃん》というのは



「鈴原くん、いきなりごめんね。紹介も遅れてしまって…。弟の日向(ひなた)です」


「弟さんいたんや」

「寮生活なんだけどね。ひなちゃん、帰ってくるの明日って言ってなかった!?」


昨日の夕方の着信はこのひなちゃんから。
明後日の日曜日に帰ってくるというものだった。



「用事早く済んだから帰ってきた。そしたら何これ」


なんだか重い空気が流れる。



「弟さんせっかく帰ってきたんやし、俺そろそろ帰るな」


「鈴原くん、ごめんね!」


鈴原くんに気を遣わせてしまった。