さっきまでの幸せな気持ちは一転、今はなんだかどんより。


でも、2人の時間はあっという間に過ぎて私の家に到着した。



「いつも送ってくれてありがとう」

「一緒に帰れて嬉しいし」


ほら、またそんな優しい事を言う。

今まで恋愛とか無縁だったせいか、男の人の感情とか全然わからない。


みんな、こんな優しいの!?



むむむ…



「ぶはっ!!」

いきなり鈴原くんが吹き出した。


「どうしたの!?」

「険しい顔してるから。なんかコロコロ表情変わって百面相みたい」



え!!
私、顔に出てた!?

恥ずかしいー…



「何か悩んでるん?」


「ううん!!何もないよ!!」


言えるわけない。
あなたの事だとは。



「ふーん…。俺にはちゃんと言ってや?」


どこまでも優しい鈴原くん。

私は勘違いしちゃだめ。



「ありがとう。また月曜日だね」

「せやな、じゃあな」


今日は金曜日。

明日と明後日は会えない。



寂しいなぁ。




鈴原くんが見えなくなるまで見送る。




♪〜

そんな時、またスマートフォンが鳴った。

これは電話だ。


あ…


「もしもし。ひなちゃん!どうしたの?」


電話をしている間に鈴原くんは見えなくなっていた。