「あれれー?こんなとこにいたの?」

「足立くん!」


食堂にいたはずじゃ?


「今頃加藤面談だし、桜は先に待ち合わせ場所行くって帰ってったわ。悠も日和も遅いんだもん〜」

「待たせてごめんね」


何も言わない鈴原くん。



「悠、ちゃんと話せたのか?」

「あぁ。またちゃんと言うわ」


よかった。鈴原くん、普通だ。



「彗…さっきの話聞いてた?」

「え?なにが?」

「いや…べつに」


鈴原くん?


「日和ごめん。俺やっぱ練習あるし帰るわ」

そう言って鈴原くんは走って帰っていった。


鈴原くん…。



「日和、帰ろっか?」

「あっはい!」


あっ!夜ご飯の事言わなきゃ


「あっあのね!足立くん、今日……」


ぎゅっ


振り向き様に抱きしめられた。


「えっ…!?」


「ごめん日和。10秒でいいからこうさせて」

抱きしめる力が強くて拒まない。


ううん
私、それを言い訳にしてる。



「日和…離してって言わないんだ…?」


まだ私の中で“答え”なんて出ていない。

だけど、足立くんはやっぱり私の中で大切な友達で、守りたい人。


その感情がそれ以上なのかとかわからない。

でも、足立くんがもし私をこうして真剣に見てくれているのなら私も真剣に向き合わなきゃいけないと思った。


私はずっと言い訳して逃げてた。
それこそが甘えだったんだ。


失う事を恐れる甘え。


進路も考えていくうちに、色々見えてきた最近。

少しは成長出来てるのかな、私…。



「足立くん、夜ご飯うちで食べませんか?」

「いいの?」

「はい。バターチキンカレーですよ」

「やった!俺の好きなやつ♪」


あなたの笑顔を見たいと思っている自分がいるんです。