朝。

「おい、洗面所いい加減変われよ」

「もうちょっと待ってください!!」


ひなちゃんがいないので、こんなやり取りの朝はかなり久しぶり。



ひょいっ

足立くんがのぞいてきた。


「わぁ!!のぞかないでくださいよ!」

「着替えとかじゃないんだしいいじゃん」

「よくない!!」


バタバタの準備を終えて一緒に家を出る。
なんとも、不思議な感覚。

だけど、ちょっと慣れてきてる自分がいるのに少し驚いてしまう。



「行ってきまーす」

ドアを開けて、目の前の光景に私はフリーズする。



「おはよう」


えっと……

返答しない私にもう一度問いかける声。


「日和、おはよう」


「あっ…おはよう……」


どうしてここに


「あれ!悠じゃん。おはよー」


私の後ろからひょこっと出てきた足立くん。


「なになにー俺を迎えに来てくれたのー?」

「それに近いかもな」

「やだー照れるー」


鈴原くんは足立くんを無視して、私のそばにやってきた。


「一緒に学校行っていい?」

すごく優しく私に微笑みかけてくれる。



「いいの…?」

「俺が聞いてるねんで?当たり前やん」

そう言って手を出してくれた。


朝からドキドキが止まらない。
私はその手を握ろうと手を出した。



バシッ

「悠、それは調子乗り過ぎ」

「お前の挑発に乗ってあげたのに?」

「は?俺が親切に連絡してあげたんだろ」


足立くんが鈴原くんの手を振りのけた。
そして謎の会話。



「お泊まり、楽しかった?」

ギャーッ!!
鈴原くん、知ってる!!!



ガシッ

足立くんは私の肩を抱いて


「楽しかったよねー♪もう何回目かなぁ、泊まるのは」

そう言った。


わぁー!!
なんでそんな言い方するのー!!


別に何もやましい事なんてないのに、ワタワタしてしまう。



「…ムカつく」

そう言って鈴原くんが歩きだした。


「待って…!!」

私は気づいたら鈴原くんを追いかけていた。



「いい加減、俺と付き合ってよー♪」

「付き合いません!!」

「悠〜日和が冷たいんだけど」

「そうだな。とりあえずお前帰ったら?」

「悠まで冷たいじゃん!!」


険悪な雰囲気にはならず、いつもの明るい空気。
きっと足立くんのいつものノリのおかげ。


それに、鈴原くんもなんだか前とは違う。





ヴーッ


メッセージを知らせるスマホのバイブ。




メッセージを開くと


『俺も泊まりたい』


鈴原くんからそうきていた。



やっぱりドキドキが止まらない。
賑やかな朝。