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「真面目だねー日和ちゃん♪」


顔を上げて、俺を見てニコッと笑う日和。


「加藤くんたちは?」

「もう解散した。加藤もバイトだし」

「そうなんですね」



別に俺が来る理由なんてなかったのに、こうして普通に受け入れてくれる。


「勉強してんのに邪魔みたいになってごめんな」


なんか、ふと思った。

俺来たら集中出来ないよな。


「なんで謝るんですか?」

「いや…なんとなく……」


行き場のない想いがぎゅうっと締めつけられる感覚。

なんか…ネガティブになる。


「足立くん、何かありましたか?」


日和に会いたかった。
でも、いざこうして会うと弱い俺が出てきてしまう。


「足立くん?」


はっ!!
やっと我に返った俺。


「何もないよ♪」



「……ほんとですか?」
「ほんと〜」



気を緩めたら、また好きって伝えたくなる。
そしてきみを困らせる。

でも、伝えるだけならまだマシ。


伝えると、どうしても受け入れて欲しい気持ちが出てくるんだ。


最近やっとこの気持ちが実らなくても、きみが幸せならそれが1番いいって心から想えるようになったのに


まだ、好きの気持ちが見え隠れする。



「明日三者面談ですね」

「そうだな。日和はおばさん来るの?」

「はい。足立くんは?」


俺は…

「あー…俺、親来れないんよね。仕事で出張重なって。また後日になった」

「そうなんですか」

「仕方ないよ。夏休みにすると思う」

「家でひとりですか?」

「そうだよ」


もう慣れた。
共働きの両親は、俺が高校に入ってから出張も増えるようになった。

俺がこうしてやりたい事やらせてもらってるのは両親のおかげだし感謝してる。


だけど

やっぱたまに寂しくなるよな。



「うちに晩御飯食べにきますか?」

「え?」

「お母さんもまた来てって言ってたし、うちで食べませんか?」

「いや、急に迷惑だと思うし」

「連絡しとくので大丈夫ですよ。よかったら来てください」


神様

俺はまだ諦めなくていいって事ですか?



「いいの…?」

「足立くんがよければぜひ♪」



「日和のバーカ」

「なんでバカ!?」


さっきまでポッカリ空いていた心の穴がスーッと埋まっていくよう。



好き。


すっげー好きだよ。