夜ご飯が終わって、ベランダに出て少しボーッとした。


修学旅行もあと明日1泊したら終わり。
早いなぁ。



「何やってんの?」

「足立くん」

「夜風が気持ちいいなぁと思って」

「ほんとだね」


それ以上は多く言わず、隣にそっといてくれる。


見え方が変わる…か。



「なに?」

「え!?」

「じっと見てる。なんか付いてる?」

「そっそんなんじゃないです!!」

「じゃあどんなんなの?」


あっ、足立くんの意地悪スイッチが入った。
表情を見ていたらわかる。



「何もないんです!!」

「なーんだ。残念」


足立くんとは鈴原くんより緊張せずに話せる。
色んな姿を見せてきちゃったからかな。


「鈴原くんは?」

「部屋で休むって」

「そっか」


今日はもう会えないのかなぁ。



「悠、日和の事好きって言ってるんだしさ、より戻したら?」


「急にどうしたんですか!?」

「悠の事好きって顔に書いてあるから」


うそっ!!??

私は思わず自分の顔をペタペタ触る。



「あはは!!書いてる訳ないじゃん!日和らしいな」


「もうー…!!」

私はプイッとして足立くんから離れようとした。



ガシッ

腕を掴まれた。


「ごめん。でもさ、表情には出てるよ。そんな日和見ると…妬ける」


急に真剣な表情。


ドクンッ



「足立くん…離してください」

「嫌だ」

「また意地悪する」

「意地悪じゃない。好きだって伝えてるだけ」


私の腕を掴む力が強くなる。



「足立くん、私は—・・・「前川ー!安藤が探してたぞー」


クラスメイトの男子の声でハッと我にかえる。


パッと手を離す足立くん。



「あっうん!すぐ行くね!」


私はホテルの中に戻ろうとした。



「足立くん!」

足立くんは振り返った私に少し驚いている様子。



「好きって言ってくれてありがとう!」


こんな私にずっと伝えてくれる。


「…はいはい。フラれ慣れてますから。早く行ってあげて」


ヒラヒラと振る手をよそに私は安藤さんの元へ向かった。




「あーあ……俺ってこんな諦め悪かったっけ…」



俺はあと何度フラれたら、日和を諦められるんだろう。