「「着いたー!!!」」

港町、神戸。


桜ちゃんと私はすでにテンションMAX。



ホテルに荷物を預けてしばらく班で自由行動。


「みんな、どこ行きたい?だいたいの場所は案内出来るで!!」


そっか。桜ちゃん、関西出身だもんね。
詳しいんだなぁ。

鈴原くんも神戸来たりしてたのかな。



「俺、ハーバーランドって所行ってみたいんだけど」

「オッケー!まずは足立の希望を叶えましょう!」


先に前を歩いていく桜ちゃんと足立くん。



「桜の奴、テンション高いなぁ」

「そうだね」


「期末終わってからさ、ずっと神戸のパンフとか雑誌見て色々調べてたよ。みんなを楽しませたいって」


桜ちゃん…。


「桜らしいよね」

桜ちゃんを見ながら優しく話す加藤くん。
桜ちゃんが大好きなんだなってすごくわかる。





「わぁ!写真とかで見た事ある景色だ!」


神戸ってほんとに海と山がこんなに近くにあるんだなぁ。

波の音に心が落ち着く。




チラッと周りを見ると

「え!!??」


女子高生たちにナンパされている鈴原くんと足立くん。



「ねぇ連絡先交換してよ」

「遊びに行こうよ〜」



「んー、ごめんね。俺ら修学旅行で来てるからさ」


「もう1人のお兄さんも何か言ってよー」

「離せよ…!!」
「あっあのー!!!!」



ヤバイ、足が震えてる。


「誰ー?」

「邪魔しんといてよ」


今までだったらこんな状況、絶対首突っ込まなかった。

だけど、気づいたら足が動いてたんだもん。



「せ…先生が呼んでたよ!!行こう!!」

振り絞って出た嘘。


「お兄さんたち、タイプはどんな子ー?」

「あれ友達?絶対違うよね」



色々言われまくり。。。
しかも、全然諦めてくれない。。


やっぱり私なんかじゃ……


グイッ

「サンキュー。行こうぜ」

私の肩を抱く鈴原くん。



「あっ!俺のタイプはこの子やから。あんたらには無理」

そう言って私の手を引っ張って歩き出す。



「俺もあの子以外興味ないんだよね。じゃあね」



わっ…鈴原くんと手を繋ぐなんて、いつ振りなんだろう。


ドキドキドキドキ…

顔が熱くなる。
身体が熱くなる。

7月に入って暑くなってきてるせいにした。



「あっわりぃ」

少し歩いてからパッと手を離した鈴原くん。




「おーい!次行くでー!」

「桜たちが呼んでるし急ごか」


鈴原くんは先に桜ちゃんと加藤くんの元へ向かった。



「ドキドキしたんじゃない?」

「えっ!何がですか!?」

「んー、悠と久々手繋いだりして」



足立くん、鋭過ぎ!


「べっ別に!!」

「ドキドキしたんだ」

「だからしてないですって!」

「妬けるなぁ〜」


足立くんが目の前に来て私のおでこにコツンと自分のおでこを当てる。


「なっ…!!」

「妬くよ」


顔が近くて俯いてしまう。



「俺ってそんなに頼りない?」


「違…!!」

勢いで顔を上げると、すごく切なそうな表情の足立くん。



「ごめん…変な事言って。行こ」