「‥‥これ、どうぞ」

「ありがと」


お風呂場に案内して、ひなちゃんの服を渡した。


「お母さんが無理矢理ごめんなさい」

「無理矢理とかじゃないよ。有難いし」


いや、お母さんのせいにしてるだけだ、私。



「私がごめんなさい」


ポンッ



「もう謝るの禁止」

私の頭に触れた足立くんの手から感じる体温が、少し熱く感じた。



「一緒に入る?」


「…!!何言ってるんですか!!」


「はは!そうこなくっちゃ♪」



もう、迷惑も心配もかけない。





ガチャッ

「あっ日和いた」

「喉乾いてませんか?」

「欲しいー。サンキュ」


お風呂上がりで髪が濡れている足立くん。


「髪乾かさないと風邪ひきますよ」

「大丈夫♪あとで乾かすし」



時計を見ると深夜0時を回っていた。

こんな時間に私の家で足立くんといるなんて、とても不思議な感覚。


「おばさんは?」

「さっき部屋をのぞいたら寝ちゃってた」

用事で部屋に行ったお母さん。
なかなか出てこないから部屋に行ったら、ベッドにもたれるように寝ちゃってた。


「安心したんだろうな」

「………」

「すげー心配で、日和からの連絡があるまでずっと外走り回ってたみたいだよ」


お母さん。。ごめんなさい。



「何があったの?」


「…何もありません」

「何もなくてあんな時間まで公園にいたんだ」

「…はい」

「何もないのに、こんなにみんなに心配かけたんだ」


言わない。
もうこれ以上迷惑かけちゃだめだ。


「……はい」

「それで“何もない”なんだ」


自分で解決するんだ。
私の事なんだから。


「………」

「何それ。意味がわかんねーんだけど」

ガタッ!!!



私は足立くんの言葉を遮るように立ち上がった。


怒らせちゃったよね。
当然。


本当にごめんなさい。



「何も…なかった‥んです。…ごめんなさい‥」

我慢していたのに、目に涙が溢れ出す。



ぎゅっ


「ひどい言い方してごめん。でもこうでもしないと、日和話してくれないと思って」


足立くんの体温が伝わってくる。


「足立くん、離してください」

「やだ。ほんとはもう手を出さないって決めてたけど、やっぱ俺無理だわ」


私の涙を指で拭う足立くん。


「話してくれるなら離す」


そんな‥


「俺、頼りない?」


私は首を横に強く振った。


「首振りすぎだって」

あははと笑う足立くん。



「言わないとキスするよ?」


!!!!!



「さーん」

「待ってください!」

「にー」


…!!!


「いーち…」

「話します!!!!」