日和と何度か話した広場や学校周辺を回るけどいない。


「あっつ…」

ずっと走ってるせいか汗が止まらない。



駅周辺にやってきた。


こんな所、学校帰りに日和が1人で来る場所じゃねぇよな。



いない。


日和、どこだよ。


電話しても出ない。


何度もかけてるのに折り返しもない。




ダメ元で図書館に向かった。



「やっぱいねぇか…」



ふと図書館の隣にある公園に目をやった。


暗い公園の中。
ベンチに座る人影が見える。


ゆっくり近づく。

もしかして……




「日和!?」


やっと見つかった。


「こんな所で何やってんだよ!?」


日和を思いっきり抱きしめた。
無事で本当によかった。



「足立くん!?どうしてここに…!?」


「どうしてって今何時だと思ってんだよ!」



はっとしたような表情をしてスマホを見る日和。


「えっ!?21時半過ぎてる…それにすごい着信…」



「おばさんや日向、すげー心配してるぞ。まずはおばさんに連絡してやって」


「うっうん」


俺はわざと少し離れた。

話しにくいだろうし。




それにしても、何があった?
普通に会話は出来ているけど、普通じゃない。


絶対何かあった。






「話せた?」

「はい…すごく心配していました」

「だよな」



しばらく続く沈黙。



「帰るか」


「……はい」



ふと日和の手元に目をやると、スーパーの袋が。
結構色々入ってる。


「それ持つよ、重いだろ?」

「えっ!?これですか!?大丈夫です!!」


焦ったように少し袋を隠そうとする。

なんだろ?




あれから何も話さない日和。

俺の隣を俯いて歩いている。




「喉乾かね?」

「えっ!?はっはい」

「ジュース買おう」


そう言って日和とコンビニに入った。



「私買います。すごい迷惑かけちゃったし」

「いいよ。迷惑かかってないし」


日和の目が潤む。



「日和?」

「何でもないです」



なんでも話してよ



俺じゃ頼りない?




「どーぞ」


「ありがとうございます」



きっとひとりで泣いたんだろうな。


目が少し腫れてる。



でも、今は泣かない。

なんだかいつもの日和より……




「着きました」


はっ!!

考え事をしていたら日和の家に着いた。




「家まで送っていただいてありがとうございました」

「いーえ。どういたしまして♪」


ほら、また目が潤んでる。

泣きたいのに我慢しているのか?



「ひとりで入れるか?」

「それぐらい出来ます!!」


少し焦りながら照れてる。
可愛い。


こんな時にもこんな事を考える俺って…




*************

「足立くん、じゃあまたね…」

そう言いながら玄関のノブに手をかけた。



「日和!!??」


ドアを開けようとしたらお母さんが出てきた。


「どこ行ってたの!?心配したのよ!!」

「お母さん…ごめんなさい……」


すごく心配をかけてしまった。
こんなにも周りの人たちに迷惑をかけてしまった。



「本当にごめんなさい…」
 

でも泣かない。
今泣いたら止まらなくなりそうだから。



「足立くん、迷惑かけて本当にごめんなさいね。夜遅いんだけど、もしよかったら少しうちに寄っていかない?お茶でも飲んでいって」


「いえ、俺は大丈夫ですよ」

「遅くて親御さんに怒られるわよね」

「いえ、今日両親いないんで。うちの家、出張ばっかでほとんどいないんですよ」

「そうなの!?だったら寄っていって」

「お言葉に甘えて失礼します」