「申し訳ありませんでした」


担任の安田先生に深々と謝り職員室を出た。



「話なげーよなぁー安田」

「足立くん、巻き込んじゃってごめんなさい」

「なんで日和が謝るの?俺が自分の意思でサボったの♪」


こういう所。
足立くんの優しい所なんだ。



「お詫びにチョコパン、ご馳走します」

「メロンパンも♪」

「甘いパンばっかり」


今こうして笑えているのは足立くんのおかげ。


「帰るか」

「はい」


「手繋ぐ?」

「繋ぎません」


ちぇーっと言いながら笑っている足立くん。



「足立くん、ありがとう!」


鈴原くんに諦めずにちゃんと伝えるね。



「なんのお礼かわかんねー」


甘えてばかりな私。


「甘えてばかりでごめんね」

「甘えられてる実感がないんだけど」

「あはは!足立くんらしい」

「それ以上笑ったらキスする」



私は急いで足立くんから離れた。


「うーわ。露骨」

「当たり前です!」



甘えるのを卒業しなきゃいけない。




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「鈴原は今日も休みだな」


あれから3日経った。

朝礼で告げられる鈴原くんのお休み。



『風邪がまだ治らへんから今日も休むな』


鈴原くんから今朝来ていたメッセージ。



心配だな。

お見舞い行きたいけど……迷惑かな。




「悠、珍しく休むの長いね」

「そうだね。風邪みたいなんだけど」


おばさん達、いるのかな?
ご飯食べれてるかな?





『ご飯食べれてる?』


少ししたら返事がきた。

『大丈夫。日和学校頑張って』


この3日間はこうして朝連絡を取るだけ。

しんどいだろうし…と思って、お昼以降は連絡をしていない。



会えなくてもいい。

何か差し入れだけでも持っていこう。






キーンコーン…

終礼が終わった。



「みんなまたね!」

私は急いで学校を出た。



「おぉー、日和早い」

「悠の見舞いでも行くんじゃね?」


「足立はそれでいいん?」

「何が?」

「別に〜」


お互い確信はつかない。


「俺は片想いを選んだから」


ぼそっと呟いた足立。




「…カッコつけちゃって」






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「これなら食べやすいかな?」

ひとり言をぶつぶつ言いながら差し入れを物色中。



散々悩んでなんとか買い物終了。


鈴原くんのお家に届けよう。

おばさんに渡せるだけで充分。




あと少しで鈴原くんのお家。
玄関が見えてきた。


そんな時、鈴原くん家の玄関のドアが開いた。

鈴原くんが見えた。



「鈴原く…!!」  

鈴原くんの後ろから女の子が出てきた。



真穂ちゃんだ。



親しげに話している。


私はその場で立ち止まってしまった。


鈴原くんたちはもちろん私に気づいていない。