「聞いてましたか〜?日和ちゃん〜?」


ずっと固まっている日和。



俺は抱きしめる力をまた強めた。


「わっ!」

やっと声が聞こえた。



「足立くん、離してください!」

泣いていたのは落ち着いたようだ。



「嫌だ♪」


「もう!!足立くん、また意地悪して!」


ぎゅう!!


「違うよ。言ったじゃん、日和が好きだって」


「だっだから私をからかって…」

「は?こんな事言ってからかったりしねーし」

「えっ!?えっと……」

「俺、こう見えてかなり緊張してるからね♪」



足立くんがわからない。


「日和大好き」


足立くん、何言って…!!


「日和顔赤い〜!可愛い♡」


いつものふざけてる足立くんなのに、どうしてこんなにドキドキしてしまうの。



「少しは俺の事意識してくれた?」


「何言ってるんですか…!!」


「これからは俺の事しっかり意識してね」



私は精一杯の力を出して足立くんから離れた。


「あーあ、残念」



「…私は……鈴原くんと付き合ってます」

「知ってる」


むむっ即答。
そりゃそうか。


「…私なんかにそんな事言ってくれるなんて…感謝なのですが……」


絶対私を励まそうとして言ってくれているだけ。
だけどもし、足立くんがほんの少しでもそんな風に思ってくれてるとしたら…


「足立くんの気持ちには答えられません…。ごめんなさい」


「んー、それも知ってる」


じゃあ…


「全部わかってて告白してんの。俺、諦める気ねーから」



「どうして…!?」


「そんな簡単に諦められるほど中途半端な気持ちじゃないから」


真っ直ぐに私を見る目。

私は思わず逸らしてしまった。



「日和に振り向いてもらえるように、俺頑張るよ」

私に近づく足立くん。


後ろに下がりたいのに何故か動かない私の足。



「大好きだよ、日和」


そう言って優しく笑った足立くんは、私の頭をポンポンとしてくれた。



「教室戻ろう。さずかに次サボったらヤバそう」


はっ!!ほんとだ!!
今授業中だった!!!


キーンコーン…

ちょうど授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った。



「行くよ、日和」


私は足立くんの後を追って屋上を後にした。