体育の時間。

「加藤くーん!頑張れー!」

「やっぱり足立くんだよー!」

「私は鈴原くん派かな」


授業中だと言うのに、黄色い声がたくさん聞こえる。



「なんやねん。加藤、バスケ得意やからって騒がれちゃってさ。デレデレした顔してキモイ」


桜ちゃん、ヤキモチだな。


「加藤くん、デレデレしてないよ。桜ちゃんいるのにするわけないじゃん」


「へ!?私と加藤は何もないし!」


顔が赤くなって可愛い桜ちゃん。
まだ2人は付き合ってないらしい。


周りからは絶対付き合ってるように見えてると思うけどなぁ。


「ほんと、みんな人気だね」

「当の本人たちは全く気にしてへんけどね」



「次前川さんたちだよー!」

「はーい!安藤さん、ありがとう」


2年で仲良くなった安藤さんも同じクラスになれた。
よかった。


女子は交代でバドミントン。


チラッと鈴原くんを見ると目が合った。

最近よく目が合う気がする。


ニコッと笑う顔にドキドキが止まらなくなる。


そんな時にふと過ぎる真穂ちゃんの顔。



私、何モヤモヤしてるんだろ。
真穂ちゃんの存在を知らなかった事に引っかかってるの?

なにこの感情。


なんだか黒い感情がぐるぐる回ってるみたい。




「日和!!危ない!!!!」


えっ…!?





バンッ!!!!




大きな音がした。
だけど、何も痛くない。




目を開けると

「足立くん!!!」



私の前に足立くんがいた。



「日和ちゃん、大丈夫?」

「わっ私は全然大丈夫だよ!足立くんが大丈夫!?」


バスケットボールがこっちに飛んできたらしい。
私ぼーっとしてたから気づいてなかった。



「足立!前川さん!ほんとごめん!!」

クラスメイトの水田くんがこっちにやってきた。


「足立大丈夫か!?」

「俺は大した事ないから」



足立くんの右腕を見ると赤く腫れてるのがわかった。



「足立くん!保健室行きましょう!」

「大丈夫だって♪」

「行くの!!!」

「ちょっ…!日和ちゃん!」



足立くんの左腕を引っ張る。



「先生!保健室行ってきます!」

私は足立くんと保健室に向かった。