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3年生になって初めての木曜日がやってきた。


終礼が終わって放課後になる。



変わらず、木曜日音楽室へ行く。

すごく大切な時間。


ただひとつ変わったとすれば


「日和、行こっか」

「うん」


同じクラスになれたから、一緒に行くようになった事。



北館に着いて階段を上がっていく。


「ん。もう誰もおれへんし」

そう言って鈴原くんが右手を出してくれた。


きゅっ


手を繋いで上がる階段。



「なんで笑ってるん?」

「幸せだなぁ…って思って」


この階段を鈴原くんと手を繋いで上がれるなんて。
嬉しくてニヤけちゃうよ。



チュッ

私の左頬にキスをしてくれた。



「日和、可愛すぎ」


私、こんな幸せ過ぎて良いのかな。

幸せがすごくて、なんだかたまに怖くなる。


ひとりの時だった頃とは違う、何とも言えない不安が押し寄せる。



「鈴原くん!学校で恥ずかしいよ!」


「んーいいやん。触れれる時にたくさん触れたい」




ねぇ、鈴原くん


最近たまに見せる、その寂しそうな表情は何…?



本当はすごく聞きたいけど


なんだか答えが怖くて聞けないの。



どこか、遠くに行っちゃうんじゃないかって
よぎるの。