ポンッ

日和ちゃんの頭に手を乗せて撫でる。

せめてこれぐらいは…良いよな。


触れたい。


「ありがとう。すげー嬉しい。心配かけてごめんな」


日和ちゃんは、俺と悠の関係を大事にしてくれている。



ねぇ、もし悠よりも少しでも早く出会えてたら

俺の事好きになってくれたかな?




なんて、考えても仕方ない事を考える。




「俺がわがまま言ってるだけだから気にしないで」

「わがまま?」

「そっ、わがまま。悠に迷惑かけてるんだよね」

日和ちゃんは俺をじっと見ている。


頭を撫でてた右手が頬に移っていく。
頬に触れそうになった瞬間

「鈴原くん、迷惑とか何も思ってないと思いますよ?」

日和ちゃんの声でハッと我にかえり、手を止めた。





「鈴原くん、何もないって言いながら早く足立くんとご飯食べたいって言ってましたよ」


悠が?


「そんな事言う時点で何かあるんだろうなって思うのに、何もないって言い切るんです」


「何より、鈴原くんこの数日全然元気なくて。すごく寂しそうなんです」


なんだよ、それ。


柄にもなく、なんだか少し嬉しくなってる。


寂しいって

俺だけじゃなかったんだな。



「足立くんも寂しいんじゃないですか?」


ほんと、この子は。
鈍感なのか、鋭いのかわからない。



「日和ちゃんには秘密♪」


「あっ!ずるいー!」


俺、やっと笑えた気がする。



「やっといつもの足立くんですね♪早く仲直りしてね」


相変わらずの敬語とタメ口が混ざる口調。(ほぼ敬語だけど)



そんな君に、やっぱり敵わない。



「ありがとう。大好き♪」


いつものノリな感じで言ってみた。
本音だけど。


でも、ちゃんとはまだ伝えない。


な、悠。


正々堂々と挑まないとだよな。




日和ちゃんは一瞬顔を赤くして


「また足立くんの意地悪!」


なんて言って、プイッとあっちを向いてしまった。



すげー大好き。


神様


この辛くて、でも幸せな片想いを


もう少し俺にさせてください。