あの子を知ってから、悠は毎日あの子の話をするようになった。


「やっと…話せるタイミングが出来たのに…いきなり過ぎてパニクってアホって言ってもた」


「お前がアホだな」

なんでそうなる!?



出会った頃の悠とはもはや別人。
あの子との出来事に一喜一憂状態。


「いや、関西ではアホは親しみを持って言う言葉やねんで!?」


「うん、でもここは関東」


関西人の悠に関東の俺がツッコむ。
悠をこんな風に変えた前川日和が気になった。




休み時間や登下校など、ふと見かける時はひとりが多い。
周りとはつるまないのかな。

なんか少しずつ興味が湧いてくる。



そんな時、桜に出会った。

悠の幼馴染みで友達思いな桜。
性格ももちろんだけど、一目惚れに近かった。


一目惚れとか初めてだし、人を好きになるのも久々で少しテンションが上がってた。


自分なりにアピールしていくけど、桜を知っていけば知っていくほどわかってしまう加藤の存在。

桜は加藤が好きなんだ。



だけど、簡単に諦めたくない。


柄にもなく、日和ちゃんに協力をお願いしたりダサいよな俺。

そしてあっけなく振られた。

わかってた結果だけど後悔したくなかった。



やっぱさすがにヘコんでるのか、その日の夜は食欲もあまりわかずほとんど寝れなかった。


寝れねーし文化祭の準備もあるし、早いけど学校行くか。


今思えばこの時早く学校に行って本当によかったと思う。


日和ちゃんに会えた。

日和ちゃんは、俺にとってなんか不思議な存在だった。
悠以外に素を見せれる存在っていうのかな。
女子で初めてだった。


桜の事を他の人に言うつもりなんてなかった。
悠にも話すつもりがなかったから、日和ちゃんには全く話すつもりもなかった。

はずなのに


日和ちゃんに会って話してると、不思議な安心感がわいてきて気づけば振られた事を話していた。


こんな事話されても迷惑だよな。

だけど、思ってた返事と違い俺に無理して笑わないでって言ってくれた。


なんでわかるの?

やばい

抱きしめたくてたまらない。