何なんだろう。

今までの俺なら絶対好きにならないタイプだったはず。




「好きです。付き合ってください」


「ごめんね。気持ちは嬉しいんだけど」


自分で言うのもあれだけど、モテる方だと思う。


高校に入ってからも、何度も告白された。

だけど、そもそも彼女作る気ないし
ていうか、誰?って子ばっかだし。



「あの…彼女じゃなくてもいいです…だから…」


ほら、きた。



「何それ?どう言う意味?」

女ってこんなのばっかなんか。


「俺、そんな事言える奴まじで無理」


自分でも最低な事を言ってるのはわかってる。



だけど

やっぱり無理。
受け付けない。


そもそも、こう言う奴らは俺の外見しか見てない。




「あのさぁ彗、もっと言葉選べよ。あの子泣いてたやん」


「覗き見?良い趣味持ってるね♪」


「お前が見える所で告られてるのが悪い」


「…わかってるけど、あんな事簡単に言える奴まじで無理」



ポンッと俺の肩に手を乗せる悠。


「お前って見かけによらず純粋やもんな」 

「一言余計」



高校生活は好きな子なんか出来るわけないって思ってた。




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「は?好きな子の名前がわかった?」

「ああ!やっとわかってん!」



珍しくテンションが高い悠。

高2になった春。
俺たちはまた同じクラスになった。



「前から言ってたお前のピアノ聴いてた子の事?」

「そう!隣のクラスの前川日和って名前やってん!」


えらく嬉しそうに話す悠に、俺はなんだか笑ってしまった。


「なに笑ってんねん」

「別に。あとでどんな子か見に行こうっと♪」



休み時間に廊下からチラッと隣のクラスを覗く。



ふと目に止まったのは、ひとりじーっと本を読んでいる女の子。
周りの誰とも群れずに、ただひとり本を読んでいる。


第一印象は、地味な女の子。
まぁ、あの子なわけないな。



「あっ!あの子やで!」

悠が嬉しそうに指をさした先にいたのは、まさにその子。


「まじ!?」

「どうやって話かけよかなぁ」

「お前、趣味変わってんね〜」



そう、この時はこんな感じ。

興味すら湧かなかった。

ましてや、好きになるなんてあり得ないと思っていた。