「え…!?足立くん…?」


足立くんがこっちに向かって走ってきた。



「大丈夫!?ずっとここにいたの!?」


息荒く私の元へやってきて、髪や肩についている雪を払ってくれる。


私は呆然として言葉が出ない。

どうして足立くんがここに?


でも、なんだか少しホッとしたせいか涙が溢れ出す。




「もっと早く気付けばよかった、ごめん」

足立くんはそう言って、指で私の涙を拭ってくれた。



「さっきニュースで見てさ…関西の天気が雪で荒れてるらしくて飛行機が欠航になってるって。悠に連絡しても繋がらないから、日和ちゃん大丈夫かなって心配になってさ」


それでわざわざ来てくれたんだ。


「足立くん、ありがとう…」


鈴原くん、飛行機が飛ばなかったんだ。
怪我とかじゃないんだよね。


「それならよかった」

「え?」

「鈴原くん…何か事故とかにあったんじゃないかと思って…すごく不安で…でも、怪我とかじゃないなら本当によかった」

ホッとしたらまた涙が出てきたけど、それでも私は足立くんに笑顔を見せる事が出来た。



「こんなに冷たくなって…」


「え…?」



ギュッ!!

気付けば足立くんに抱きしめられていた。



「こんな冷たくなるまでずっと待ってるのに…なんでそんな風に笑えんの!?」


力強くて、そして暖かくて振り払う事が出来ない。

ううん

それは言い訳だな。

私は足立くんに甘えてる。



「足立くん…!?離して…」


「泣いてばっかじゃん」


ドクン


そうだ、私は足立くんに泣いている所をたくさん見せてしまってる気がする。




「俺にしときなよ」


「あだ…」


「俺はこんな想い、絶対させない」



そう言って足立くんの顔が私の顔に近づいてくる。


身体が動かない…







バッ!!!


「はぁはぁ…何してんねん!!!」


後ろから抱き寄せられた。



この声は…



「…王子様が来るのが遅いからだろ」


「日和…待たせて…ほんまにごめん!!」


息遣いがすごく荒い。
走ってきてくれたのが伝わる。


大好きな声。