土曜日のお昼。

家で勉強していると、スマホが鳴った。



『今何してるん?』

鈴原くんだ!



『勉強してるよ』


なんだろう。

足立くんと話してからは、学校ではなるべくいつも通り接していたつもりなんだけど…。



ブーッ

『ちょっと会える?』


ドクンッ



どうしよう。

あの話になるのかな。

まだうまく気持ちがまとまってないんだけど…



『勉強してるから難しいかも』


逃げた私。



ブーッ

『わかった』


ズキンッ


これでいいんだ。

私から断ったくせにショックを受けている自分に嫌気がさす。

勇気もない。




ちょっと気分転換にリビングに向かった。

お母さんは友達とランチに行っている。



ジュースを飲んでいたらインターホンが鳴った。



「はい?」

「宅配便です」

「お待ちください」


お母さん、何か頼んでいたのかな?


ドアを開けると


「嘘ついてごめん」


鈴原くんがいた。



「…あれ?宅配便は…」

「俺」


鈴原くんが届いたんだ。


なんて、なにを現実逃避してるんだ!



「こうでもせえへんと会ってくれへんと思って」


わざわざ家に来てくれたんだ。


嬉しい。
本当はすごく嬉しいから


「なんで泣いてるん?」

私は泣いてしまっていた。



「俺のせいやんな。ごめん…」

そう言って私を抱きしめてくれた鈴原くんの身体は少し冷たかった。

秋から冬へ変わってきた肌寒い日だった。