終礼が終わり、私はダッシュで荷物をまとめて教室を出る。

「桜ちゃん、加藤くんまた明日ね!」

「うん!バイバイ…ってあれ?」


「あっちって音楽室と逆やんね?日和帰るのかな?」

「ほんとだな。今日は鈴原と会わないのかな?」


「…加藤ごめん。先帰ってて。悠に会ってくる」




鈴原くんと偶然でも会ったりがないように、ひとまず急いで学校を出た。

そしていつもは通らない道で帰る。


どこまで避けるんだろ、私。

いっそこのまま嫌われた方がいいかもしれない。

こんな最低な私をこれ以上知られたくない。



いつもは通らない道。
少し人が少ない広場があった。


「こんなところがあったんだ」

ちょっとぼーっとしたいなと思って、ベンチに腰掛ける。



私、いつまでこんな風に現実から逃げるんだろう。


あ、また泣きそう。

最近我慢していたのに。



「オレンジと紅茶、どっちが好き?」

俯いていると上から声が。


顔を上げると

「足立くん!?」

そこには足立くんが。



「どっちがいい?」

え?飲み物買ってくれたの…?


「えっと…じゃあオレンジジュースで…」

「どーぞ」


そう言って私の隣に座る足立くん。

どうしてここにいるんだろう。


「日和ちゃん、家こっちだっけ?」

「あっううん!今日初めて通ったんです…」

「ふーん、やっぱり。見かけたから珍しいなと思って」

「足立くんはどうしてここに?」

「俺ん家、この近く」


そうだったんだ。


「そうなんですね」


ひとりでモヤモヤしていたせいか、なんか少し気持ちがホッとした。



「なにをひとりで悩んでんの?」


「え?」

「可愛くないよ、そんな姿」


ドクンッ!


「えっ…べつに…」


「素直にならないと。強がってても、可愛くない」


可愛くない。

そんな事…


「そんな事…わかってるよ!!」