舞台へ出る。


お客さんの反応が怖いけど、勇気出さなきゃ。
出るって決めたんだから。


舞台に出ると女子からのわーっという声が聞こえた気がした。

でも緊張であんまり聞こえてない。



私はシンデレラのコスプレにした。
というか、ほぼ半強制的にこれになった。
(桜ちゃんのゴリ押し)


「お名前お願いします」

「えっと…前川…日和です」

「身長はいくつですか?」

「154です」

司会者の子からの質問に答えていく。


「好きな人はいますか?」

えっ!?そんな事も聞くの!?


チラッと客席の方を見ると、みんなこっちを見てくれている。

私なんかを見てくれている。



「はい、います」

「どこが好きですか?」

そこまで聞くの!?

心の声が出てしまいそう。


「あり過ぎて答えられません…」


「惚気てますね〜」

客席がわっと声を上げて笑っている。
司会者の子がうまく言ってくれたおかげ。

ほんとはちゃんと答えた方がよかったはずなのに…。
ごめんなさい。



「では、特技をどうぞ!」

きた。


「…」

「前川さん、特技を…」


「I have changed since I met you.」
※私はあなたに出会って変わりました

「I think meeting you is a gift from God.」
※あなたに出会えた事は神様からのプレゼントだと思っています


これは前に鈴原くんに言ってもらえた言葉。
私の中で今もとっても大切な言葉。

それをあなたにもちゃんと伝えたい。


「And I met my precious friends.」
※そして、大切な友人たちにも出会えました


「I want to be a person who can protect my loved ones.」
※私は大切な人たちを守れる人間になりたいです。



なんという、拙い英語。
だけど、勉強の中で1番得意な英語。
特技と言えるかわからないけど、これしか思いつかなかった。

普段言葉にするのは恥ずかしいけど、英語なら…ちょっとは言えるかもしれないと思った。



しーーん


静まり返る教室。


あぁ、、やっぱり変だったかなぁ…。



パチパチ…

拍手が聞こえる。

その音の方を見ると、鈴原くんがいた。



ヤバイ、泣きそう。


他のお客さんたちも拍手をくれた。



やり切れたのかな…。


ぺこっと一礼をしてそそくさと舞台袖に帰る。



桜ちゃんが待っていてくれた。


「日和…すご過ぎ。ただ…」

「??」

「私英語わからへんー!!!!」


そう言いながら抱きついてきた桜ちゃん。

私は涙を流しながら笑っていた。