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「ここのスコーン、むっちゃ好きやわ」

「私も!でも、チーズケーキも好き」

「やんねー♪どれも美味しい」

桜ちゃんとこの前来たカフェに入った。


学校帰りの女子高生がたくさんいる。



「あのさ」

なんだか少しドキドキする。
何か話があるのかな?


「うん、どうしたの?」


「この前、足立に告白されてん」

ドクンッ


「…あっ…そうなんだ…」

驚くのが正解なのかな!?
足立くんに聞いてしまっていたから、どんな言葉が正解なのかわからない。


「アイツさ、いつもふざけてる感じやん?だから今回もそうやと思ったらそうじゃなかって…」

「うん…」


桜ちゃん、なんだかちょっと泣きそうな顔。


「気持ちは嬉しかったけど、断った。真剣に言ってくれたから、私も真剣に答えてん」

「うん」

今はうんとしか言えない。
でも、桜ちゃんは正しい。


「私さ、今好きな人がいるから…その人しか考えられへんから…」

「でも、あまりにすぐに断り過ぎたのかな。考えなかった私ってあかんかったのかな…」


そんな事ないよ。


「桜ちゃん、私全然恋愛経験ないから何も偉そうな事言えないんだけど…」

桜ちゃんは間違ってない。


「ちゃんと自分の気持ちを目の前で言葉に出来るのってすごいと思う」

「変に期間とかあけずにちゃんと言う方がほんとは難しいと思うの。でも、桜ちゃんは誠意を持って足立くんにその場で伝えたと思うんだよね」

「それは絶対足立くんに伝わっていると思うよ!」


こんな恋愛経験ゼロに近い私が何を偉そうに言っているんだろう。

言葉にするのはすごく難しい。

だけど、桜ちゃんのその真っ直ぐな想いは、必ず足立くんに伝わっていると思うから。


「足立くんは、そんな桜ちゃんが好きなんだと思うよ。私も大好きだし」


桜ちゃんの目から涙が流れた。


「…日和、ほんまにありがとう…。ひとりで悩んでて…もう訳がわからんくなっててん」

「何でも話して。話したくなった時で大丈夫だから」


また一歩、自分も変われた気がする。


大切な人を大切にできる人間になりたい。


「桜ちゃんって泣き顔も美人だね」

「そんなおだてても何もでーへんで」


あははと笑い合う。


「明日からも、今まで通り足立に接して大丈夫なんかな」

「絶対大丈夫だよ」


文化祭の話とかもしてて、あっという間に19時を回っていた。

連絡せずに遅くなったから、帰ってお母さんに怒られたけどそれもまた良い思い出。