「授業、サボっちゃった…」

「ええやん、たまには」

いいんだろうか?



「文化祭、バンドするんだよね?絶対見に行くね!!」


「バンドって言ったっけ?」


あっ!

「今朝ね、足立くんも早く来てたみたいで偶然会ったの。その時聞いたよ」

「…そっか」


「鈴原くんのキーボード、絶対かっこいいね!」

「プレッシャーやなぁ」


保健室には私たち2人だけ。
ベッドに腰かけて、気持ちの良い風を感じながら何気ない会話をするこの時間。
すっごく幸せだな。


「日和のクラスは?」

「ミスコン?的な事をするみたい。私は看板とか色々準備を手伝うよ」

「日和は出ないん?」

「私なんか無理だよ!桜ちゃんは絶対選ばれるよね♪」


頭をポンポンとされた。

「日和選ばれるよ。でも、日和の魅力に周りが気付かないままでもいてほしいし複雑やな」


なんですか、その言葉は!!
もしや、、またもやヤキモチ的な!!??


自惚れ絶好調だな、私。
ちょっと頭を冷やそう。

水に頭を突っ込みたい。




「なぁ、日和」

「はい??」

「文化祭終わったらさ、デートしよっか」

「え!?」


デート!!??


なんだか改めて言葉にすると、ドキドキが…


「夏休み、俺の練習とかであんまり会えなかったやん。よかったら穴埋めさせて」


デートとか嬉し過ぎるけど

「えっと、私の事は気にしないでね?ピアノを頑張っている鈴原くんも大好きだから」

私の事で負担はかけたくない。


ぎゅっ


「俺が会いたいねん。わがまま聞いてくれる?」


またまたズキューンッ


「そんな言い方…ずるいよ」

私だって会いたくてたまらないのに。



ガラッ!!

「あなた達、どうしたの?ごめんなさいね、先生職員室に行ってて」


わわわわっ!!!

あやうくキスしそうだった!!!!



「ちょっと気分悪くて保健室で休ませてもらってました」

さすが鈴原くん、動揺なく自然な理由(嘘)を!!


「あら?大丈夫?横になってなさい」


鈴原くんは先生の目を盗んで私の方をチラッと見て

ニッと笑いながら舌を出した。

悪い笑顔。


そんなあなたも大好きだと感じた瞬間。