こっちを見て黙り込む足立くん。


「って、私なんかが偉そうにすみません。何も協力できな…」

えっ


気がつくと、足立くんに抱きしめられていた。


「…あ…だちくん…!?」


私の声にハッとしたように、離れる足立くん。


急にどうして…
心臓がドクドクしている。


「日和ちゃん、驚かそう思って近づいたら躓いて倒れ込んでしまったわー!急に抱きついてごめんよ」


「…そうだったんですね」

なんだ、こけそうになっただけだったんだ。
私ってば本当に早とちり過ぎる。


「でも、ありがとうね日和ちゃん。気持ちが軽くなった」


そんな足立くんの表情はやっぱり優しくニコッと笑っていた。



どんな言葉をかけるのが正解だったんだろう。




————————…


1時間目が終わった。

桜ちゃんはいつも通り。


桜ちゃんから加藤くんの事も足立くんの事も、何も聞いてないからただ私の勘だけど

でも、何も話してもらえてない事にちょっとショックを受けている自分がいる。


厚かましいなぁ。


自分が嫌になる。


「日和、なんかあった?元気ない?」

「ううん!何もないよ!」

鈴原くんからは朝に『わかった』とだけ返事がきていた。


なんだかすごくモヤモヤする。


そんな木曜日。
木曜日の放課後は鈴原くんとの大事な時間。

その時にきちんと謝ろう。


そう思っていたら

ブーッ

メッセージの受信を知らせるバイブ音。


鈴原くんからだ。


『ごめん。今日の放課後からしばらく文化祭の練習や準備があって放課後無理になってしまった。帰りも送れそうになくてほんまごめん』


そっか。

文化祭の準備だもん。
仕方ないよ。

鈴原くんが謝る事じゃないよ。


『全然大丈夫だよ!頑張ってね』

送信。


でも、昨日のあのままな感じとか、文化祭の事鈴原くんからは全然聞かせてもらえてなかったりとか…

モヤモヤが消えなくて増えていくばっかり。



私ってこんな面倒くさかったんだ。



嫌われたくない。
邪魔したくない。



カチカチ


『ごめんね』


無意識に打っていた文。
そして、送ってしまった。


それと同時に目に溢れる涙。


「日和、どうしたん!?」

急に泣き出した私に焦る桜ちゃん。


「あっごめんね。目にゴミが入っちゃった」

誤魔化せたかな?



鈴原くんや桜ちゃんや足立くんや色んな気持ちがごちゃ混ぜになってる。