「俺がこうして前川の事を受け止められるんも、桜のおかげだなってすごく思うから…」


ドキンドキン

加藤はずるい。



「ほんとにありがとうな。こんな姿見せてしまってるけど」


そんな笑顔を見せないで。
もう、ほんまにコントロール出来なくなる。


「あっ、でもやっぱ名前で呼ぶのは厚かましかったかな!?ごめん」

そんな事全然ないし!
呼んでほしいし!!


「そんな事ない!!呼んでほしい!!」


バカ加藤。
鈍感加藤。


「それならよかった。ありがとう、桜」


これを天然でしてるなら、加藤はひどいよ。
ずっと片思いでいたかったのに。

伝えずにはいられなくなる。



「もうすぐ頂点だな」


もう無理や。

神様、伝えてもいいですか?



「良い景色だなー」

景色なんて全然目に入らない。


加藤の表情、仕草でいっぱい。


「桜?」