気づけば、私の家の前。


「俺もさ、変な態度取ってしまったなって気になってたから、来てくれて嬉しかった」



ドクンドクン

加藤のひと言ひと言に心臓が大きく鼓動を打つ。



「送ってくれてありがとう」

これ以上、今はうまく言葉が出ない。



「風邪ひかないように、すぐ風呂入れよ」

「うん!加藤こそ!」


ほんと、どこまでも優しくてお人好し。
好きじゃない子にもこんな優しく出来るなんて…
天然の罪深さや。



私はマンションの入り口へ向かった。



「成田!!」


「?」


「俺…あの時かっこつけたけど…好きな子が幸せだったらって言ったけど…」


加藤…?


「そうも思ってるけど…ほんとは俺が前川を幸せにしたい!」


ドクンドクン


「あの時、成田が俺になんで笑ってるんって言ってくれてほんとはすげー嬉しかった。いつも自分の気持ち押し殺してしまうから」


なんだか、少しだけ素の加藤が見えた気がする。



「こんな風に人に言えたの初めてかも。まじサンキューな、成田」



言葉が出ない。


「遅くにごめん、おやすみ」


加藤が帰っていく。


待って。



「加藤!」