次の日から、昨日の女の子探しが始まった。


同い年?
年上?

俯いて眠ってしまっていたせいで、顔が少し見えにくかったから余計探しづらい。



とりあえず、同じクラスにはいなさそうやな。


どっちかと言うとおとなしめな印象の子だった。



他のクラスも見に行くか?
いや、でもなんか聞かれたらめんどくさいな。



そんなことを考えていたら全然見つからず、気づけば3月。

もうすぐ終業式。



結局、あの女の子は誰かわからないまま。

あれからの木曜日も、話しかけようと思って扉に近づくともういない。

さっきまでは人影があったのに。



あの子のノートを見てから、右手が魔法にかかったかのように動かしやすくなった。

弾いていて楽しい。
昔の自分の手の感覚が蘇ってくる。




早くあの子を見つけたい。




終業式の前日の木曜日。
今日は短縮授業で午前中で終わり。



彗に昼飯誘われたけど断って音楽室に向かった。

4階に着いて歩いていると、音楽室の前に誰かいる。


少し背伸びをして中を覗き込んでいる女の子。
きっとあの子だ。


俺はやっと見つけられた喜びと同時にむっちゃ恥ずかしくなり、廊下の角に隠れた。


中に誰もいないとわかったのか、トボトボとこちらに向かって歩いてくる。



チラッと覗くと、やっと顔が見えた。


知らない子で、やっぱり同じクラスにはいない。



でも、やっとわかった。



絶対話しかける。



俺を知って欲しい。



ありがとうって伝えたい。