俺にとってピアノを弾く事はご飯を食べたり風呂に入るのと同じ感覚で、生活の中で当たり前の事だった。

ただ楽しくピアノを弾いていたけど、小学4年生で受けたコンクールで優秀賞をもらえた。


それまでより真剣に向き合った努力が結果になったのがすごく嬉しかった。



でも



中1になってすぐの頃、自転車に乗っていた時に車に轢かれかけた。

幸い轢かれなかったが、よけようとしたせいで大きく転倒してしまった。



その時は全身の痛みでわからなかったけど、2日後あたりから右手の指に違和感が出てきた。




「え…動かへん…」


転倒した日にちゃんと検査などした結果、異常はなかった。

少しひどい打撲や傷は目立ったけど、骨なども異常はなかったはず。


でも、ピアノを弾こうとするとかなりの痛みが走る。
日常生活には支障はないのに、どうして。




母さんと一緒に急いで病院に行った。

病院を変えてもう一度検査をするが、やはり異常はない。


診断は、身体を守る為に無意識に手をついてその衝撃がまだ残っているかもしれないとの事だった。

経過を見ようとの事だった。