「日和!?聞いてるの?」


「……」

「ひよりーー!!!」

「え!!??はい!!??」


お母さんと夜ご飯中。

でも私はさっきまでの夢のような出来事を思い返していて、お母さんの話は全く聞いていない。



「さっきからずっとぼーっとしてるけど?」

「あっ、ごめんね」

「鈴原くんと何かあった?」

「ゴフッ!!!!」


ゴホゴホッッ

まさかの返答に思わずむせてしまった。



「いや、何もないよ」

「あったのね」

「ないってば!!」


さすがに言えない。
恥ずかし過ぎる。



「ご馳走様」

「お風呂入っちゃいなさいよ」

「はーい」



部屋に戻ると鈴原くんから連絡がきていた。


『今日は時間なくてごめんな』


こうして連絡が取れるだけですごく幸せ。




——————・・・

4時間ほど前



たくさんの人に見られてるのに耐えられなくなった私は、鈴原くんと人が少ない公園に向かった。


もうちょっと一緒にいたい。

話したい。




「あのさ日和…」

〜♪

鈴原くんが何か言いかけた時にスマートフォン が鳴った。


「わりぃ。母さんから電話やわ」

「あっ!!出て出て!!」


鈴原くんのお母さん。



「もしもし。…あぁ、後ちょっと無理?」

何か用事があるのかな?

てか、もしかして忙しいところだった!?


私は自分のスマートフォンで急いで文を打つ。



打った文章を鈴原くんに見せた。


〔お家帰ってあげて〕

鈴原くんは首を横に振る。



カチカチカチ

〔じゃあ私は帰る〕


すると、鈴原くんは観念したのか


「わかった。今から帰るから」

そうお母さんに伝えた。


よかった。




「日和、タイミング悪くてほんまにごめん」


「なんで謝るの!?私こそ忙しいのにいきなり誘ってごめんね」

「ちゃうねん。俺が会いたかったから。せっかくやっと会えたのに」


鈴原くんが抱きしめてくれる。


それだけで充分。