何秒経ったんだろう。


ほんの数秒なんだろうけど、1分、2分…いやもっと長く感じる。




私をじっと見ている。


あぁ、やっぱり迷惑だったかな…




「やっぱり日和には敵わへんな」


「え?」



その瞬間私は抱き抱えられて足がフワッと浮いた。


「わわっ!!何!?鈴原くん!?」

人通りが多い場所だから、みんなこっちを見てる。



「どうしたの!?みんな見てるから下ろして!!」

「いいやん。見せたい」



そう言って鈴原くんは私にキスをした。



もう恥ずかしさは最高潮。


だけど


「俺の大好きな彼女を見てほしい」



こんな甘い言葉を言われたら



もっとキスをしたくなる。




「あはは!何泣いてんの?」

「鈴原くんのバカーー!!」

「え?日和はアホ面で俺はバカ?」

あの時の会話!!!


「覚えてるの!?」

「当たり前やん。きっと俺の方が好きやで」



信じられない。

鈴原くんの口から《好き》って言葉をこんなに聞けるなんて。


私を守るためじゃないよね?

本音だよね?




聞きたいことがたくさんあり過ぎる。


でもひとまずは



「やっぱり恥ずかしいので…どこか別の場所に行きたいです…」


周りには人だかり。



おめでとー!と声をかけてくれる人も何人かいた。


すごくすごく嬉しい。




桜ちゃんのおかげで前に一歩進めた。

大きな一歩を。