「これを女が創ったというのか!?」
「天の御使い……だが、まるで罪を問われている気持ちだ」
人が生み出す境地を超えていると人々は称賛を声をあげた。
周りのざわめきにヴィタは満たされる想いだった。
ヴィタにとって至高の美しさを世の中に出すことが出来た。
想像上でしか存在しなかった天の使いが降臨する。
いや、それさえも超えた圧倒的な美に人々は浮足立つような感覚を味わう。
「あ、ありえない……ありえてたまるか」
優勝候補となっていた男がわななき、じりじりと後退っていく。
ようやく手にした彫刻家としての道を歩いた先に断崖絶壁。
その積み上げたプライドの前に現れるのは日の光に輝くプラチナの髪をした女。
栄光を前に口角をあげるべきは自分だったと、男は盛り上がりの中で沸々と膨れ上がる感情を知る。
途端に目の前が真っ暗になり、冷たい手が背後から迫った。
『女が創ったものが本物と思うか?』
それは耳元でかすめたじっとりと湿る声。
あわてて振り返るとそこには明けの明星が輝いていた。
『神への冒涜と思わないか?』
絶賛の渦の中で男はぽっかりと足元に空いた穴を見下ろす。
身体が重く、あちこちに引っ張られる錯覚に陥った。
『そう、お前の言葉が真実だ。この世に存在してはならない領域がある』
誰にも見えない12の翼をもつ男がささやくは、感情を膨張させる誘惑だ。
「偶像崇拝だ……」