「これを女が創ったというのか!?」

「天の御使いだ。こんな……震える愛が存在したのか」

人が生み出す境地を超えていると人々は称賛を声をあげた。

周りのざわめきにヴィタの緊張が解け、ゆっくりと笑みを取り戻す。

あたたかさにじわりと胸が熱くなった。

ヴィタにとって至高の美しさを世の中に出すことが出来た。

ようやく願いが叶ったのだと、喜びを噛み締めて一筋、涙を流した。

想像上でしか存在しなかった天の使いが降臨する。

いや、それさえも超えた圧倒的な美に人々は浮足立つような感覚を味わっていた。


「あ、ありえない……。だって、これは女が作ったもので……」


ただ一人、優勝候補となっていた男がわななき、じりじりと後退っていく。

ようやく手にした彫刻家としての道を歩いた先に断崖絶壁。

その積み上げたプライドの前に現れるのは日の光に輝くプラチナの髪をした女。

栄光を前に口角をあげるべきは自分だったと、男は盛り上がりの中で立ちすくんだ。

ーー途端に目の前が光が降ってきて、人々の前に彫刻の原点となった御使いが現れた。