日が落ちてたどり着いたのは辺り一面白い花の咲いた丘だった。

羽根を散らしてゆっくりと着地し、ルークに手を引かれて歩いていく。

丘の一番高い場所には一本の巨木が根を張り、空に伸びるほどに広がっている。

熟れた果実のみのる木を見上げ、まるでここは天上世界だと息をのんだ。


「ルーク、ここは?」

「僕にとって特別な場所。ここで一つ、証明したいことがある」


熟れる果実を一つ手に取り、ルークはヴィタの前に跪く。

そして左の薬指に唇を落とされた。


「んっ……ル、ルーク?」


それは何色と呼ぶべきか。

銀色の指輪にひとつ、星が輝いている。

心臓がわしづかみされた感覚。

するりと繋がった愛情が絡みつく。


「僕と結婚してほしい」


それは種族さえ乗り越えて。

心臓さえも繋げてしまうほど深い愛情。

この心に勝るものはないと言わんばかりの独占欲。

左手薬指は心臓と血管で繋がっていると考え、永遠の愛を誓うことを意味する。


「わがままで、可愛げなくてもいいの?」

「欲張りなところがいとおしい」

「あなたを堕とす罪深さ。誰も許してくれないかも」

「それでも。愛し合うことに許しは必要?」


そのささやきに、ヴィタは首を横に振った。


「私はルークが欲しい。それだけよ」


強気に微笑んで、ルークの首に腕を回して唇を重ねた。


「愛してます、ルーク。もっと、愛して」

「やっと手に入った。君を手に入れたくて、どうしようもない業火に焼かれていた」


――何度も耳にした警報が鳴る。