その手はヴィタと同じ赤色の血で濡れていた。

涙に濡れ、震える唇をルークの手に寄せる。

揺れる視界のままに顔をあげると、ヴィタの目に強烈な輝きが焼きついた。


(明けの明星……? いいえ、光?)


耽美な美しさ。

黄金色の瞳は夜空に浮かぶ一等星に似ているようで、さらに強い光を放っていた。


「好きになってくれ」


その言葉にヴィタの息が止まる。


「僕は君が欲しいんだ。だから近づいた……と言ったら信じてくれるかい?」

「……なぜ?」


誰もが祝福するその美しさを持ちながら何故?


「彫刻と向き合う一生懸命な姿と……キラキラ光る目に惹かれた」

「目?」


ヴィタの問いにルークはうなずく。

「君の目はとても強い。今でも焼きついて離れない。夢に向かって強くいようとする姿が……いとおしいんだ」


身体中が沸騰してしまうかのように、熱が支配する。

異質なヴィタを好きだと言うその唇がいとおしい。

本当は泣きたくてたまらないのに、強がるしかないヴィタを許してもらうかのようだ。

胸に熱い想いがこみあげて、ヴィタは小刻みに震える手をルークの背にまわした。


「好きです、ルーク。大好きです」

「うん」

「まるであなたを地に堕とす罪悪感があるの。だけどやっぱり私、ルークが欲しくてたまらない」

「――なら欲しがればいい」