「別にそんなんじゃっ……」

「男なんてさ、ヤりたいとしか思ってないよ。だから危ないって言ってるんだけど、分かんない?」


相変わらず長い前髪のせいで表情は読めないけど、今までかつてないくらい不機嫌なのは伝わってくる。


「私、そんな軽い女じゃないし。誰とでもっ……」

「そんなこと分かってるよ、そういうことじゃない。……もっと自覚しなよ、自分が女だってことを。無防備にもほどがあるし、そもそも危機管理がまるでなってない」


そんなこと言われる筋合いないし、別に無防備でもなければ危機管理がなってないわけでもない。私が気を許す男は絢斗……あんただけなのに。


「は?なんで絢斗にそんなこと言われなくちゃいけないわけ?だいたい、男くらいどうってことなっ……」

「あっそ」


素っ気なくそう言うと、絢斗は私の腕を掴んだまま引っ張って、どんどん先へ進んでいく。


「ちょっ、絢斗!?な、ちょ……なに!?」


私ん家を通り過ぎて、そのまま絢斗ん家へ向かう。そう言えば絢斗のお父さんとお母さん、結婚記念日の旅行に行くって言ってたな。

少し荒っぽく玄関に連れ込まれて、ダンッ!!と玄関ドアに押し付けられた。


「ほら、男くらいどうってことないんでしょ?逃げてみたら」


冷たくそう言い放つ絢斗。離れようもしても、逃げようとしても絢斗に押し付けられてて、全く身動きが取れない。